我が子のおなかに赤いアザができた…?乳児血管腫の治療・経過記録まとめました

乳児血管腫の治療・経過記録まとめ

我が子のお腹に突如あらわれる、赤く盛り上がったアザのようなもの。

怒涛の出産を終えて一息つく暇もなく昼夜新生児のお世話に明け暮れる日々。
そんな中、我が子の体に赤いアザを見つけたら心中穏やかではいられません。

例にもれず私も、出産した産院の検診時に主治医へ確認しました。

そこで判明した結果が「乳児血管腫」という聞き慣れない病名。

息子が生まれてからと言うもの

「うちの子、乳児血管腫という症状で通院していて…」

とお話しても、ほとんどの方には全く通じませんでした。。

そこで少しでも多くの方にこの症状を知ってもらいたく、記事にまとめることにしました。

乳児血管腫とはどんな病気なのか

その名のとおり、乳児期にできる血管の集まりのことを指します。
見た目はちょっぴりグロテスク…
我が子のお腹にできたアザも、はじめは小さなものでした。

一般的には生後1~4週にあらわれ、その後次第に大きくなります。

皮膚の表面や内部にできる「赤あざ」の一種で、未熟な毛細血管が増殖してあらわれる良性の腫瘍です。

引用元:https://www.maruho.co.jp/kanja/kekkanshu/about/disease.html

見た目が赤く、いちごのように見えることから、別名「いちご状血管腫」とも言われています。

できる部位は皮膚表面だけでなく内臓にもできることもあります。
気道周辺にできた場合などは呼吸障害や嚥下障害にもつながる恐れがあるため、早期の治療が望まれます。

できる数は1ヵ所だけのことが多いようですが、複数箇所に分かれて出現する場合もあります。
我が子の場合も、お腹以外に足の付け根付近に1箇所ごく小さな血管腫ができていました。

本人には「痛み」や「痒み」などの自覚症状はありません。
引っ掻いてしまった場合は出血してしまう恐れがありますが、それ以外には特に気を付けることもなく、できた場所が服の下に隠れる場合には治療をしない方も多いようです。

いつごろ血管腫に気付いたか

我が子の場合は前述したとおり、生後2週間くらいの沐浴時に気が付きました。

残念ながらでき始めの頃の写真はありませんでしたが、生後1週間目までは赤みも何もない状態だったことは写真で確認できました。

生後5日目、沐浴での様子。

乳児血管腫の専門「血管腫外来」を扱っている病院ではこんな記述が見られました。

一般的には治療せず経過観察します。

引用元:https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/kanja/specialty/specialty_11.html

上記の説明通り、私が子どもを出産した病院の1ヶ月検診では「しばらく様子を見ましょう」としか言われませんでした。
できた場所が目立つところではなかったり、ごく小さい場合などは治療しないことも良いと思います。

当時の私も「病院の先生が経過観察と言ったのだから大丈夫だろう」と、特に気にすることもなく子どもとの日々を楽しんでいました。

しかし結局のところ、乳児血管腫の治療を始めることになります。

治療をはじめた理由

それは、かかりつけの小児科の先生でした。

我が家が現在お世話になっているのは、家からほど近い場所にある小児科・外科を専門とする病院です。

そこの先生が3ヶ月検診の際に息子のお腹を見て、
「念のために一度、大学病院の外来を受診しますか?」と勧めてくれたことが治療をはじめるきっかけです。

今思えば、別の小児科へ通っていたら、病院の先生によっては考え方も違うので治療せず経過観察していたかもしれません。

治療中は我が子と葛藤し、親子ともども大変な日々でしたが、今となっては良い思い出です。
もし治療を悩んでいる方がいたとしたら、ぜひ早いうちに始めることをお勧めします。

なぜ治療を早いうちに始めた方が良いか

早速、紹介状をいただいた大学病院を訪れた夫と私と息子の3人。
その日はまず小児科から受診をしました。

一通りの検査を終えたあとは、皮膚科へと案内され「血管腫外来」の先生から詳しいお話を聞くことに。

そこで受けた説明の要点は2つ。

  • 乳児血管腫の特徴は「1歳になるまでにピークをむかえる」こと。
  • ピーク前に治療を始めれば血管腫も早い段階で薄くなるとのこと。

乳児血管腫について全く知識のない私たちにも、分かりやすく丁寧に説明をしてくださる先生だったのが印象に残っています。

我が子もその当時(生後4ヶ月頃)、ほぼ大きさのピークを迎えていたので、いち早く治療を始めた方が良いと先生から勧められました。

我が家では薬での治療を選択

治療は複数ある中でも副作用の少ない「β射断薬」での投薬治療を選びました。

レーザーでの治療法もありますが、「治療できる病院が家の近くにないこと」や「子どもへの負担」を考えての選択でした。

治療中に投薬していた薬について

我が家は「ヘマンジオルシロップ」を処方されました。

この薬の主成分プロプラノロールには血圧を下げる作用があります。

その効果から、服用する上で注意すべきことは「空腹時には服用しない」こと。

これは先生からも副作用として説明され、十分理解した上で治療することにしました。

当時の息子は生後5ヶ月で頻回授乳の時期でしたが、薬を飲ませるのは授乳後と決めていました。

通院の頻度

治療中は定期的な医師の診察が必要でしたが、通院する頻度は月に1度でした。

我が家から通院先の病院までは公共交通機関を使って片道50分程度。(タクシーを利用すれば20分ほど)
そして小児外来はいつも混雑していて、早く行って整理番号を取っておかないと数時間待つこともザラでした。。

月に1度とは言え、通院日の前日は憂鬱な気分だったのを思い出します…
唯一の救いは交通機関が比較的空いている日中に通院できたことでしょうか。

いずれにせよ、赤ちゃん連れで長時間バスや電車などの交通機関に乗ることは母親への負担がかなり大きいので、可能な限りタクシーや旦那さんの送迎を利用することをオススメします!

生後5ヶ月、はじめての入院生活

ここからは治療期間中の写真を載せていきたいと思います。
見慣れない方にとっては若干ショッキング(?)な写真かもしれないのでご注意ください。

投薬を始めるには入院が必要

まず、投薬を始めるにあたって入院が必要になると言われました。

個室か大部屋か好きな方を選べたのですが、個室だと24時間家族の付き添いが必要とのことで、先生からはあまり勧められませんでした。

また、個室には子供用の小さなベッド1台しか設置されておらず、その中で赤ちゃんと一緒に付き添いの1人が添い寝するので、狭くてお互いストレスになるかも…ということも説明されました。

そして個室を選ぶのは完全母乳で育てている母親が大多数だということも聞きました。(大部屋には夜間の付き添いが不可のため)

息子はほぼ完母でしたがミルクも飲むことができたので、日中は私が常に付き添い、夜間はミルクをお願いすることにして大部屋への入院を決めました。

しかし最終的には自宅で搾乳した母乳を冷凍して病院へ持っていき、夜間はそれを温めて飲ませてもらうことになりました。

なので、どのお母さん方でも大部屋への入院は可能だと思います。

入院当日におきた出来事

入院した期間は、退院日を含めて6日間でした。

まずはフロントで手続きを済ませ、その後に入院中に過ごす小児病棟まで看護師さんが案内してくれました。
そこで病院用の子供用ベッドを「ここを使ってください」と渡されたのですが、柵の上げ下げの仕方などは説明されませんでした。

少し特殊な作りになっていたので、私から使い方を聞けば良かったのでしょうが、その日は通院までの道中で疲れていたこともあり、そこまで頭が回りませんでした…

そしてこのベッドから転落してしまったのですが、これを機に安全面では特に細心の注意を払うようになりました。

後から入院した子の親御さんには「ベッドの柵は必ず上げてくださいね!」と説明していたので、ちょっと「ん?」とモヤモヤしてしまった…という話でした。

幸い、入院中だったためすぐに医師の診察を受けることができましたが、子どもから一瞬でも目を離してはいけないことを深く心に刻みました。

検査完了〜投薬開始

まずは精密検査が必要なので、薬を使用して眠っている間に検査を済ませることに。
赤ちゃんに薬を使うの!?と少し不安に思いましたが、検査中に暴れて怪我をすると危険なので必要な処置だそうです。

1時間ほど経過したのち再びベッドへ戻ってくると、我が子はいつも通りの様子でした。
(丸1年以上経過した現在も毎日元気に走り回っているので、もし私と同じように不安に思っている方がいたら、ご安心いただければと思います。)

それと投薬が始めるにあたって、測定器を常時つけることになりました。

こんな感じで胸元と足の指の2箇所につけたので動きづらいのか、本人は何だか不満そうにしていました。

そしてよく動くからかすぐに足につけた測定器が取れてしまい、たびたび看護師さんが来てつけてくださいました…^^;

動きが激しすぎて足の指につけた方取れちゃってる…

そして、検査結果も良好だったので、早速その日の夜から投薬治療を開始することになりました。
まずは規定量の1/4程度の量から開始します。最初は看護師さんが飲ませてくれました。

飲ませ方ですが、注射器のようなシリンダを使って薬瓶から液体を取り、そのまま子どもの口に入れるという方法です。

慣れない味の液体に、必死に口から吐き出そうともがく息子。
ここでペッと吐かれては元も子もないので、看護師さんは子どもの顎を押さえて「ゴックンしようね〜」と優しく話しかけていました。

翌日から徐々に規定量まで近づけていき、入院最終日には規定量を朝晩に飲ませていました。

入院中の持ち物など

下記の物に、全て記名をして持参します。

入院中の持ち物
  • 着替え(洗濯して毎日持っていく)
  • 体拭き用のタオル
  • ベビーソープ(入浴可能な場合)
  • 口拭き用のガーゼタオル
  • 汚れ物用のビニール袋
  • オムツ
  • おしりふき
  • お気に入りのおもちゃなど
  • スリッパ(子どもが歩く場合)
  • などなど

一人ひとつデスクについてくるようなボックス型の引き出しが貸与されるので、そこに荷物をしまっておけました。
持ち運びできる折り畳みフックのような物でオムツを袋ごと引っ掛けておいたのですが、それが便利で使いやすかったです。

入院中は哺乳瓶はもちろん、絵本やバウンサー、赤ちゃん向けのおもちゃなど様々な育児グッズが取り揃えられていて、持ち物は最低限で済みました。

初めて見るベビーメリーに大興奮

息子はまだ離乳食も始まっていなかったので、スタイやマグなども持参しませんでしたが、同室のお子さんは普段使っているものを持参しているようでした。

また、入院中はテレビも見られないので子どもにとってはとにかく暇…!
(うちの子は5ヶ月だったので暇じゃなくてもグズグズでしたが。)

3〜4歳くらいのお子さんはiPadで動画を見ている子が多かった印象です。
親が常に子どもと接しているのも大変だと思うので(しかも病院だから走ったり登ったりアクティブには動けない)そういった動画などに頼るのも全然アリだと思います。(むしろ、大声で騒がれるよりはよっぽど助かります。。)

入院中大変だったこと

6日間に及んだ入院生活。その中でも特に「早く退院したいなぁ…」と思った瞬間をいくつかあげてみると、こんな感じでしょうか。

  • 大部屋内は飲食禁止なのでお腹が空いても食べられない
  • 同室の子が騒がしいと若干しんどい
  • 片道50分かけて毎日通うのがツライ

大部屋は基本「飲食禁止」です。
おそらく他の子が食べているお菓子やジュースを見て「僕(私)もほしい〜!」となるからでしょう。

私はというと、我が子の安全をしっかり確認してから一旦大部屋から退室し、近くにある飲食可能なエリアに移動して食べていました。
でもそれも結構面倒なので、糖分の入った飲み物を飲んで気を紛らわせていました。

大人がこっそり飲み物を飲む分には看護師さんから注意されることはなかったので、問題ないようでした。笑

そして、大部屋は他のご家庭の子も一緒に入院生活を過ごすことになります
息子が入院した初日は、先に入院していたお子さんと2人だけだったのですが、数日経つと1人、また1人と子どもの数が増えていきました。

中でも一際元気の良いお子さんがいて、その子の大声にちょっぴり苦しめられました…

それと「病院までの距離が遠かったこと」も大変だったエピソードのひとつです。バスを乗り継いで片道50分(往復1時間半)は、結構長い道のりでした。

当時は節約を兼ねて公共交通機関のみを利用していましたが、次に同じようなことがあれば「誰がなんと言おうと、タクシーを使おう…」と心に決めています。我慢、絶対ダメ。

まだまだ小さい赤ちゃんの我が子。1人にするのはやっぱり心配なので、面会開始時間から終了時間までほぼ1人で付き添っていました。

可愛い盛りとは言え、毎日の付き添いと夜間の搾乳に私は疲れ果てていました。

そんな中、お見舞いに来てくれた両親や、早めに仕事を切り上げて面会時間ギリギリに来てくれる夫の存在にとても救われた思いがあります。
そんな貴重な経験ができた6日間の入院生活でした。

治療期間の記録

治療開始から1ヶ月頃の様子

退院後、投薬開始から1週間後の様子。

当然ですが目立った変化はまだありません。

2018/8/29
2018/8/30
2018/9/2
2018/9/7
2018/9/13
2018/9/20

治療開始から3ヶ月頃の様子

この頃から子どもがハイハイするようになり、じっとしてくれないので写真が撮れなくなりました…^^;

2018/11/12

まだ目立ちますが、治療初期に比べるとだいぶ薄くなったのが分かります。

こちらが投薬1週目の様子。

治療開始から5ヶ月頃の様子

このあたりから一気に薄くなった変化を実感しました。

2019/1/17
2019年3月24日撮影

この写真だとちょうどタオルで若干隠れていますが(そしてぼやけている…)、かなり薄くなったことが見て取れます。

治療期間およそ半年間で十分な結果が得られました。

そして保育園の入園が確定したことを期に、主治医の先生と相談し治療を終えることを決めました。

まとめと現在の様子

治療から約1年半、順調な経過を辿っています。

直近の写真がこちら。

2020年2月8日撮影

それからさらに1年経過し、すっかり赤みもまばらになり、周りの皮膚に馴染んできました。
写真で見てみるとまだ少し目立ちますが、実際にはそれほど気になりません。

最近は色々なことが分かってきて、よく喋るようになってきましたが、自分のお腹を見て何か言うこともありません。

治療期間はおよそ8ヶ月。
最初は薬を飲ませるたびに大号泣していた息子も、終盤には自分から「あ〜ん」とお口を開けるまでに成長していました。

親子共々頑張った甲斐があったな、と努力の結果をひしひしと感じています。

乳児血管腫はまだまだマイナーな疾患ですが、この記事で少しでも認知度が上がれば嬉しく思います。

Aimiee

乳児血管腫の治療で、1人でも多くの子どもが笑顔になりますように!

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